書評 book review 2004 8 21
「アメリカの内戦」
マイケル・リンド 著
アスコム
MADE IN TEXAS
Michael Lind
この本は、
アメリカ政治事情を熟知していることを前提に書かれてありますので、
日本人が読んでも、わかりにくいと思います。
しかし、アメリカ研究には、必読の書と言えるでしょう。
共和国 republic 2004 7 9
かつて存在し、今も実質的に存在する共和国があります。
それは、「テキサス共和国」です。
おそらく、アメリカの東海岸に住む人たちにとっても、
西海岸に住む人たちにとっても、
「テキサス共和国」は、異質な存在だと思います。
ここでは、「テキサス共和国」の歴史の一部を見てみましょう。
おそらく、「テキサス共和国」の人たちは、怒るかもしれませんが、
ここでいう歴史とは、あえて、弱者から見た歴史です。
そもそも、歴史というものは、いつも正しいとは限りません。
なぜならば、歴史とは、勝者が書くものであり、
敗者には、歴史を書く権利がありません。
しかし、ここでは、あえて、敗者から見た歴史を書きます。
これは、ルイジアナが、やっと、アメリカの領土となった頃の話です。
その当時のアメリカ人は、メキシコとの国境を無視して、
多くの人が、次々と、テキサスに入植していったのです。
歴史には、国が発展する時は、必ず、領土も発展するという法則があります。
ですから、テキサスに入植したことも、歴史法則から見れば、当然だったのでしょう。
しかし、メキシコから見れば、
アメリカ人が、勝手に入植してきたので、当然、怒るでしょうし、
こうした入植者を排除しようと考えるわけです。
これは、当然、メキシコとの戦争になりました。
多くの人は、有名な「アラモ砦の戦い」として記憶にあるでしょう。
この戦争で、アメリカ人は、多くの犠牲者を出しながらも、
テキサスの独立と、アメリカへの合併を勝ち取りました。
この当時は、「国が発展する時は、必ず、領土も発展する」という法則を、
「マニフェスト・ディスティニー」という思想が、理論的に説明していたのです。
この思想は、アメリカの領土は、神から与えられたもので、
未開発の地域は、アメリカによって併合される運命であるという考え方です。
しかし、このような思想は、アメリカの発展によって、解消されたはずです。
つまり、アメリカが、地域国家から国際国家になっていく過程で解消されたと思っています。
アメリカが、古い時代へと、先祖帰りをすることはないと思っています。